ダイブコンピューターが動かなくなった時、あなたならどうしますか?

投稿者:加藤 大典

MY DIVE COMPUTER QUIT. WHAT DO I DO?
翻訳 SDIインストラクター中森 翔士

想像してみてください。あなたは今、カリブ海にある巨大な岩壁に沿って泳いでいます。中層にいると、上を見ても下を見ても青く澄んだ水が広がっています。目新しさを求めて、サメが泳いでいないか穴の中を覗いたりしながら、壁面の多種多様なサンゴや海洋生物をじっくりと見ています。

素晴らしいダイビングだと思いませんか?

おっと、これがこの日の2本目のダイビングだとお伝えするのを忘れていました。あなたがダイブコンピューターを「最後に」チェックした時、減圧不要限界(NDL)は8分で、水深は27msw/90fswでした。「あと1分か2分だろう」と考え、より良いマルチレベルダイビングのために浮上を始めます。それから少し経った頃でしょうか、ダイブコンピューターを見ると、何も映らなくなっていました。元に戻ることを願いながら、もしくは、奇跡を期待しながら画面をタップしますが、画面は映らず、何の情報も得ることができません。

ダイブコンピューターは動かなくなり、あなたは27msw/90fswにおり(もしくはいると思っており)、本日2本目のダイビングで、減圧不要限界が近づいています。さあ、どうしたらいいでしょう。

まず第一に、これは「緊急事態」ではなく、不便なだけだということに気付いてください。保有している最良のリソースはあなたが吸っているガスであり、リソースの状況を確かめるために残圧を確認してください。ガスは有り余るくらいあるということに気付きました。これだけガスがあれば都合が良いです!これで、問題解決に向けて効率的に動くことができます。

ダイブコンピューターは(マスクやフィンと何ら変わりなく)部品が必要なので、故障したかどうかが分かることが重要だということに気付くべきです。故障したことが分かれば、ダイビングは終了です。以上。
これに関しては、質問無用です。

落ち着いて、バディやチームに向かって「親指を上げる」ハンドシグナルを送り、「ダイビング終了」を伝えましょう。ダイブコンピューターを指差せば、彼らもダイブコンピューターが故障したと分かり、あなたと共に水深を浅くしていくでしょう。バディはあなたが持っていないものを持っているので一緒にいましょう。持っていないものとは、浮上速度と水深を確認する方法のことです。

一緒にいれば、浮上速度を4.5~6msw/15~20fsw にコントロールできるでしょう。こういった状況になったなら、NDL を超えていないという確信は持てないため、(残圧があれば)安全停止を延長することをおすすめします。水面に浮上した後、(もしいれば)ダイブクルーに何が起こったか知ってもらいましょう。おそらく、その日はダイビングやめて休憩することを提案されると思います。

では、こういった事態が再び起きないようにするにはどうしたらいいでしょうか?

問題が起きてから対応するのではなく、問題を予測して事前に対策できるように努力してください。事前対応が大切です。プレダイブチェック(ABCDE)で、「C」がコンピューターを表しているということを思い出してください。プレダイブチェックで自分のダイブコンピューターをチェック する時、ダイブコンピューターが動いているか、正しいガスがセットされているか、バッテリーが十分にあるか確かめてください。もしそうでなければ取り替えてください。また、もしバッテリーが必要なら、予備のバッテリーを持ってくれば、バッテリーの残量を気にする必要はなくなるでしょう。

バックアップ用のボトムタイマー及び水深計もしくは2 つめのダイブコンピューターを着けることにより、バックアップの器材を持ちリソースを増やしましょう。これによってメインのダイブコンピューターのバックアップとして、水深と時間を確認できるようになります。ダイブテーブルをポケットに入れておき、ダイビング中に必要に応じて参照することもできます。ナイトロックスでダイビングしているなら、保守性を加えることができます。

もしダイブコンピューターが壊れても、平静を保つということを忘れないでください。「これは緊急事態ではなく、不便なだけです。」問題が起きてから対応するのではなく、問題を予測して事前対応すれば、この先のダイビングでこういったことが起こる可能性を減らすことができます。初めてのダイブコンピューターやバックアップ用のダイブコンピューター選びの際は、お近くのSDIダイブセンターにお尋ねください。


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