いざというとき、頼れるダイバーになるために
秋雨前線に翻弄されている間に、気づけばもう9月も終わり。
あんなに暑かった夏。これぞ夏!という日々を過ごしていた、あの頃。
……いや、そんな生ぬるい夏ではなかったような気もしますが。
そんな夏真っ盛りだった7月末、SDIのレスキューダイバートレーニングを受けてきました!
「いつの話をしてんねん」と自分でも思いますが、ぜひお付き合いください。
今回のトレーニングメンバー
今回のトレーニングは、このメンバーで行いました。
インストラクター:加藤大典さん
受講生:青木優子(私)・青木将人(夫でバディ)
海洋実習に先立ち、まずは座学とプールでのスキルトレーニングからスタートです。
テキストの種類を見て、「座学のボリューム、そこそこあるな」と思いませんでした?
私は思いました。
が!ダイビングだけでなく、日常生活でも役に立つ情報が多く、興味を持って学べました。
座学からプールトレーニングへ
さて、レスキューダイバーコースでは、知識を学ぶだけでなく、実際の救助を想定したさまざまなスキルをトレーニングします。
コース案内には、次のような内容が記されています。
(SDIレスキューダイバーコースについて詳細はこちら)
☑️水深6m(20ft)から意識を失ったダイバーを引き上げる
☑️水面に浮上した後、人工呼吸をシミュレーションしながら、約50m(150ft)離れた岸まで曳航する
☑️岸に到着後、1名のアシストの助けを受けて、ダイバーを水面から引き上げる
もちろん、トレーニングはこれだけではありません。
プールでは、こんなスキルも練習しました。
・パニックダイバーの見分け方
・パニックダイバーへのアプローチの仕方
・パニックダイバーに掴み掛かられた際の対処法
・息こらえ
・水深5mまでの素潜り
・水面で速く泳ぐための水泳フォーム
などなど、盛りだくさん!
それぞれについて詳しく書きたいところですが、長くなってしまいそうなので一言だけ。
それぞれのスキル自体はそれほど複雑なものではありません。
しかし、トレーニングをしたのと、していないのとでは、いざという時に格段に差が生まれると思います。
自分の限界を知り、レスキューの引き出しを増やし、無理せずできることをする。
今回のトレーニングを通して、そんなことを感じました。
ひとりで頑張るだけでは、救えないかもしれない
座学と合わせて、最新のFirstResponseエマージェンシーケアのトレーニングも行いました。
人形を使って胸骨圧迫(いわゆる心臓マッサージ)と人工呼吸をシミュレーションし、速度や強さ、回数などをモニタリング。
適切に実施できているか、要救助者を救助できる状態にできたかまで確認できます。
今回行ったのは、胸骨圧迫30回につき人工呼吸2回。それを止めることなく3分間続けます。
これがなかなかしんどいんですよ。
想像以上に体力を消耗します。
これをひとりで、救急車が到着するまで続けるのは……。
バディの顔にも、はっきり「疲レタ」と書いてありました。
2024年の統計では、日本における救急車の到着までの平均時間は約9.8分。(詳しくはこちらへ→総務省消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」の公表)
ダイビング中に事故が起きた場合、ボートダイビングなら港に戻るまでの時間もかかります。
そう考えると、救急車が到着するまでには、さらに時間がかかることもあります。
ひとりで孤軍奮闘しても、体力が尽きてしまえば、救える命も救えなくなってしまうかもしれません。
そこで大切になるのが、周囲の人にも協力してもらうこと。
というわけで、ここからは周囲の人を巻き込んだ救助トレーニングです。
「そこの赤いTシャツの方、救急車を呼んでください。その際に、意識がないことも伝えてください」
「そこのキャップをかぶっている方、胸骨圧迫はできますか? では、次に代わってください。交代でしましょう」
このように、周囲の人に具体的な指示を出して役割分担をします。
文字にすると簡単なようですが、これも実際にやってみないとわかりません。
いざというときに、周囲の人に協力を求め、適切に役割を分担する。
これも大切なレスキュースキルのひとつです。
いよいよ海洋実習! 越前の海へ
さて、遂に海洋実習です!
これ以上ないというくらい晴れた日に、越前で行われました。
照りつける太陽、茹だりそうな水温のなか、トレーニングを進めていきます。
まずはプールで習得したスキルの復習。そして、行方不明ダイバーの捜索など、規定のトレーニングを行います。
そして、いよいよ岸までの曳航と引き上げです。
まずはバディが救助者役、私が要救助者役。
バディは、私の器材を脱がしながら人工呼吸を行い、さーっと岸まで曳航。
そして、おぶって岸に引き上げます。
スムーズ!! 素晴らしい!!
さすが普段から酔っ払った私をおぶって帰っているだけあります。
さて、次は私が救助者役、バディが要救助者役ですね。
要救助者役のバディの器材を脱がしつつ、人工呼吸をしながら曳航して……。
おぶって岸に引き上げ……。
引き上げ……。
引き上げられません!
おっも!!!!!!
無理やで、無理!!
と思いましたが、子鹿のように足を震わせ、海老のように腰を折り曲げて、
ウンウンフーフー言いながらなんとか頑張りました。。。
おぶわれていたバディによると、周囲の皆さんは、
「え? まじで? それやんの?」
と、ざわざわしていたそうです。
そらざわつくわ。
加藤さんからも、
「優子さんの聞いたことない声が聞けましたね」
との感想をいただきました。
行方不明ダイバーを探せ!
続けて、行方不明ダイバーの捜索シミュレーションも行いました。
バディと私でリールを使い、いざ捜索開始。
海藻が繁るなか、ラインを持ちつつ泳ぎ、捜索を進めていきます。
そして、しばらく進んだ先で……
いた!!
海底に沈んでいる要救助者(加藤さん)を発見!
発見後は、比較的スムーズに引き上げまで進めることができました。
……が。
問題は、その「発見するまで」です。
要救助者役の加藤さんは、「これぐらいの時間で発見されるだろう」と、海底でスタンバイされていたはず。
一方、私はというと、
海藻とリールのラインに翻弄されながら捜索。
思っていた以上に、発見までに時間がかかってしまいました。
ということは……
加藤さん、いつから海底にうつ伏せで待っててくれていたのでしょう。
いや、本当に申し訳ない。
そして、ありがとうございます。
実際の捜索では、時間は掛けていられません。
限られた時間の中で、どのように捜索するのか。どうやって意思疎通をするのか。
そして、見つけた後にどう行動するのか。
「探す」という一見シンプルなことでも、実際に水中でやってみると、思っていた以上に難しい。
そんなことを実感したトレーニングでした。
そんなこんなで、海洋実習も無事終了!
残すはFirstResponseエマージェンシーケアトレーニングです。
大人・子供・赤ちゃん。それぞれの救急対応を学ぶ
今回、新しいトレーニング用の人形を購入されたとのことで、さっそく開封!
なんと今回は、大人・子供・赤ちゃんの3体です!!
それぞれで胸骨圧迫の力加減なども変わってくるため、とても良い練習ができます。
しかも今回のこの機種は、アプリを使い、人形とスマートフォンをBluetooth接続できる優れもの!
その場ですぐに結果も出ますし、データ共有も簡単です。
AEDのデモ機や酸素なども使用し、午前中をたっぷり使って、さまざまなシナリオでトレーニングを行いました。
回数を重ねるごとに、少しずつ視野を広く持てるようになったように感じます。
目の前のことだけに集中するのではなく、周囲の状況を確認し、必要なことを判断して行動する。
実際の救助を想定したトレーニングだからこそ、気づけることがたくさんありました。
そして、講習は終了!!
加藤さん、ありがとうございました!
レスキュー講習は、一度受けて終わりではない
今回、レスキュートレーニングを受けて、改めて思ったことがあります。
オープンウォーターダイバーライセンスを取得してから、あれよあれよという間にレスキューまで受講されるダイバーさんも多いですよね。
レスキューについて知っておくことは、もちろん大切です。
ですが、ダイビングの「潜る」という部分がある程度身についてから受講すると、
レスキューのスキルそのものに集中できるように思います。
自分の中性浮力が安定していない状態で、他のダイバーをレスキューする。
いくら講習とはいえ、これはなかなか難しいことです。
自分自身のダイビングスキルに余裕ができてから取り組むことで、見えてくるものもあるのではないでしょうか。
そして、すでにレスキューダイバーライセンスを持っている皆さん!
改めてレスキュー講習を受けてみませんか?
レスキューの方法や救急対応は、日々アップデートされています。
もし初心者の頃に受講されたのであれば、今、改めて学ぶことで、当時は見えていなかったものに気づくかもしれません。
これは自戒も込めてですが、
一度受けて終わり、にするのは勿体無い!
10年ほど前にレスキューダイバーコースを受講したバディの夫は、
「ほとんど何も覚えていない。こんなこともやったんかなあ」と言っていましたし、
私自身、今回の講習から2ヶ月が経ち、すでに忘れていることが多々あると思います。
学んだことを身につけ、いざというときに実践できるようにするには、継続したトレーニングが必要だと実感しました。
レスキューの知識やスキルは、持っているだけではなく、繰り返し練習してこそ、いざというときの力になります。
一緒に、頼れるレスキューダイバーを目指しましょう!
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